私たちは多くのことからストレスを受けて生きています。ストレスを放っておくと自律神経のバランスが崩れ、心身の健康に大きな影響を及ぼすことに。けれどもストレスは十人十色で、同じストレスを受けても平気な人もいれば、心身に大きな悪影響を受けてしまう人もいます。
今回は、ストレスがたまる要因やストレスを受けやすい人、ストレスがたまることにより現れる症状の他、ストレスをためない方法についてお伝えします。
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ストレスとは
ストレスはもともと物理学の分野で使われていた用語。外部からの様々な刺激(ストレッサー)によって自分の心や身体に負荷がかかり、歪みが生じた状態、または、嫌なことに対して我慢するなど気持ちを抑圧することにより、処理されない感情が心の中に蓄積している状態のことをいいます。
ストレスは以下のように段階的に進行します。
- 警戒反応期…ストレッサーの刺激を受け、反応し、交換神経が緊張状態にある時期。
- 抵抗期…ストレスに耐えながら戦闘態勢に入り、抵抗している状態。全身の機能が最も活動する時期。
- 疲はい期…ストレッサ―の刺激が強すぎたり長期に渡り、耐えきれなくなり消耗、抵抗力が弱まり、生体機能が衰え様々な不調が現れ始める時期。
ストレスの要因
ストレスというと、仕事や育児、人間関係などを思い浮かべる方も多いと思いますが、実は私たちは身の周りの非常に多くのものからストレスを受けています。
- 物理的要因…天候、気温や湿度などの気候条件、騒音、異臭、大気汚染など環境に関することなど
- 化学的要因…薬品や添加物など
- 生物的要因…過労や栄養不足、睡眠不足、病原菌に対する防御など
- 精神的要因…人間関係や性格、社会的な環境の変化など
ときには結婚や出産、昇進などの喜ばしいこともストレスの原因に。最近では、長時間のパソコン作業による「テクノ・ストレス」も心身に大きなストレスを与えています。ちなみに、アメリカのある心理学者によると、私たちが経験する出来事の中でもっとも大きなストレス要因は「配偶者の死」だそうです。
良いストレスと悪いストレス
ストレスというと悪いイメージが先行しがちですが、適度なストレスは自己成長などにもつながり、人生を豊かにしてくれることも。ストレスにはプラスとマイナスの側面があります。
良いストレスというのは、何かを達成させる原動力になったり、何かを頑張るための適度な刺激。目の前の課題や試練(ストレス)をクリアすることで人間的に成長できたり、充実感や達成感、満足感を得られるもののことを指します。スポーツ選手の中には自らストレスを受ける環境に身を置く方がいらっしゃいますが、能力の開発や集中力の向上など、自分の成長に役立つものが良いストレスということになります。また、女性が恋をするときれいになるのは、適度なストレスにより女性ホルモンなどの機能が高まるからだそう。良いストレスによる適度な緊張は、心身に良い影響を与えます。
反対に、悪いストレスというのは、嫌だと思うことを続け、自分がどんどん追いつめられて苦しくなってしまうもの。結果、体調を崩したり心が落ち込んでしまい、心身に悪影響を及ぼします。
ストレスがプラスに作用するかマイナスに作用するかは、脳が「快」と感じるか「不快」と感じるかによると言われています。同じストレッサ―でも、ストレスと感じる人と感じない人がいるのは、感受性や物事に対する考え方が違うからです。
ストレスがたまるタイプ
一般的には以下のような人が、ストレスをためやすいタイプと言われています。
- 真面目で責任感が強い人
- 頑張りすぎてしまう人
- 完璧主義者
- 自己評価が高く、競争心が強い人
- 優秀な人
- 我慢強い人
- 細かいことにこだわってしまう人
- 気を遣いすぎる人
- 常に相手のことばかり考えてしまう人
- 自己主張ができない人
- 自己評価が低く、自分に自信がない人
- 自分のことが好きになれない人
- すぐに将来に不安を感じてしまう人
- 短気な人
- 予定外のことがあると不安になりやすい人
- 好き嫌いや感情で他人を判断しやすい人
- 相手に過度に期待する人
- ささいなことを気に病んでしまう人
- 過度な運動不足の人
ストレスがたまると現れる主な症状
心で処理できずに抑圧された感情は、情緒の不安定、身体の不調、そして行動にまで影響を及ぼします。
心理的症状
- イライラしたり感情的になる、精神的に不安定になる
- 漠然とした不安感、気分が落ち込む、憂鬱になる
- 注意力、集中力の低下、無気力になる
- 新しいことに消極的になる
身体的症状
- 偏頭痛、腹痛、胃もたれ、便秘、下痢
- 肩こり、腰痛
- 動悸、めまい
- 手が震える
- 生理不順
- 倦怠感、疲れやすい、疲れがとれない
- 寝つきが悪い、寝覚めが悪い、夜中に目を覚ます、朝起きることができない
- 食欲不振
行動的症状
- すぐにぼんやりとしてしまう
- 笑う回数が減る
- ネットニュースなどをだらだらと見続けてしまう
- 遅刻や早退が増える
- ギャンブルやお酒に走る
- 言動が乱暴になる
- 喋り方など様々な行動が早くなる
- 仕事でミスを多発する
- 外出を面倒に感じてひきこもりがちになる
ストレスがたまると起こる主な病気
ストレスがたまりストレスフルの状態になると、様々な不調に始まり、ひいては大きな病気の誘引や発病にもつながります。特に胃腸は人間の体の中でもストレスに弱い臓器。少しのストレスにも敏感に反応してしまい、患いやすい場所なので注意しましょう。
- 胃潰瘍、胃がん、十二指腸潰瘍
- 過敏性腸症候群(腹痛、吐き気、慢性的な下痢、けいれん性便秘など)
- 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)
- 自律神経失調症(めまい、動悸、のぼせ、肩こりなど)
- 心身症
- 神経症
- うつ病
- がんのリスク
ストレスをためない考え方
ストレスは、考え方や受け止め方次第で減らすことが可能です。ストレスをためないために、まずは日頃の考え方や発想を変えることを意識してみましょう。
- ストレスの原因を知る
- 苦手な人とは無理に接せず距離を置く
- 時には断る勇気を持つ
- 嫌なこともポジティブに受け止める習慣をつける
- 感情を抑えすぎないようにする
- 適当ということを覚える
ストレスを解消する行動
ストレスがたまってもすぐに発散することを心がければ、ストレスがそれ以上たまり、悪影響を受けることはなくなります。
- モヤモヤした感情を放置せずに、人に話したり紙に書き出す
- 心から笑う
- 好きな音楽やその時の感情に合った音楽を聴く
- 好きなことをする時間を作る
- 好きな物を積極的に食べる
- マッサージをしてストレスでこわばった体をほぐす
- 歌う、大声を出す
- 深呼吸してリラックスする
- 散歩して気分転換をする
- 身体を動かしてイライラを発散する
- 森林浴でストレスホルモンを減らす
ストレスをためない生活習慣
ストレス軽減には自分の生活を見直すことも大切。なぜなら、食生活の乱れや睡眠不足など、自分でストレスの要因を作っている場合もあるからです。特に睡眠はそれだけでストレスの緩和になるので、まずは夜、きちんと眠ることから始めましょう。思考の癖や行動をすぐに変えることは難しいですが、毎日必ず行っている習慣を改善することはそれほど難しくはありません。
適度な時間、良質な睡眠をとる
眠ることは何よりも効果的なストレス解消法。睡眠中は日中疲労した体、心、脳を休ませ、感情を処理するのに大切な役割を担っているので、熟睡することでストレスは緩和されますし、眠りが浅かったり睡眠時間が短いと逆にストレスとなります。ストレスがたまっているなと感じたら、いつもより早い時間にベッドに入るよう心がけましょう。
良質な睡眠をもたらす入浴
ただ、ストレスがたまっている状態だと、寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝起きても寝覚めが悪かったり、熟睡できずに寝た気がしない、ということも。そのような時は就寝前の入浴で入眠を促しましょう。
人間は体温が下がるときに眠気を感じます。入浴して体を温めることにより、お風呂から出た後の体温の低下で徐々に眠気を感じ、自然に眠ることができるようになります。また、身体が温まることにより副交感神経が優位になり、深いリラックス効果が得られ、身体がより入眠しやすい状態になります。
ただし、熱すぎる温度は交感神経が刺激されてかえって眠れなくなってしまったり、体温が下がるまでに時間がかかり、寝つきが悪くなってしまうので気をつけましょう。理想の入浴は38~40度のややぬるめのお湯に15分~20分です。
また、入浴中におすすめなのが足裏のマッサージ。足裏にはツボが多く、ストレス解消に効果的なツボや、ストレスで弱ってしまった胃腸の不調に効果的なツボがあります。ツボを刺激することで心身の不調を整えてあげましょう。
おわりに
現代社会に生きる以上、何らかのストレスは受けてしまうもの。けれどもストレスは悪いばかりのものではありません。自分に悪影響なストレスをためすぎないことが大切なので、ストレスに負けない思考、行動、生活習慣で、ストレスと上手に付き合っていけたらいいですね。
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