ストレスをためないことは、心身の健康や美容にとってとても大切なこと。皆さんはいつもストレスをどのような方法で解消していますか?
気の置けない友達と過ごしたり、運動などで体を動かす、ショッピングをする、おいしい物を食べる、たくさん睡眠をとるなど、ストレス発散には様々な方法がありますが、実は日常的に行っていることで、ストレス解消にとても効果的な方法があります。それは「入浴」。入浴が心身にリラックス効果をもたらし、ストレス解消に有効であることは科学的にも立証されています。
今回は、入浴でストレスを解消する方法についてご紹介します。いつもなんとなくお風呂に入っている、シャワーで済ませてしまうことが多いという方、必見です!
入浴によるストレス解消作用
バスタブにお湯をはり、肩までゆったりと湯船に浸かる――お風呂に入ると1日の疲れがとれてリラックスできるのは、心や体に様々な作用が起こるからです。入浴が生活習慣であるとともに、効果的なストレス解消方法と言われていることにはちゃんとした理由があります。
入浴が人体にもたらす作用と効果
- 汗や汚れ、老廃物を洗い流し、体を清潔に保ちます。
- 体が温まることにより、皮膚の毛細血管が広がり全身の血流が良くなります。
- 血行促進による肩こりや腰痛、冷え、むくみ等が改善されます。
- 新陳代謝が活発になって体内の老廃物や疲労物質が排出されることにより、疲労を回復します。
- 水圧による全身へのマッサージ効果や、血液やリンパの流れの促進。
- 浮力による筋肉や関節への負担の軽減、全身の緊張の緩和による心身のリラックス効果。
- リラックスすることによりホルモン分泌が促され、ストレスを解消する作用。
入浴がストレス解消に効果的な理由
お風呂に入ると、活動時に優位となる自律神経の交感神経が、休息時に優位となる副交感神経に切り替わります。副交感神経は、体を緊張から解放しリラックスさせる神経。入浴時など心身ともにリラックスしている時、食事・睡眠時など体を回復している時に働き、心と体を休ませ疲れを癒してくれます。
湯船の中でリラックスして副交感神経が優位な状態になると、ストレス緩和に効果があるβエンドルフィンや、気持ちを安定させ、ストレスに強くなる働きのある幸せホルモン・セロトニンの分泌が活発になります。また、これらの脳内物質には、ストレスを感じると分泌される恐怖や興奮を司るノルアドレナリンの働きを抑制する作用もあります。このような理由から、入浴はストレス解消に効果的だと言われています。
ストレス解消に効果的な入浴のポイント
入浴で心と体をリラックスさせるためには、お湯の温度や入浴時間など、いくつか守るべきポイントがあります。
お湯の温度は38℃~40℃のぬるめにする
ストレス解消に必要な副交感神経の働きを高めるには、ぬるめのお湯が効果的。夏なら38℃前後、冬なら40℃前後が目安です。ぬるめのお湯で体の芯まで温めることで神経や筋肉の緊張がほぐれ、ストレスで活性されていた交感神経の働きが弱まり、心身ともにリラックスできる状態になります。
反対に、42℃以上の熱めのお湯は交感神経の働きを活発にし、体をエネルギッシュな状態にします。新陳代謝を促して体内の老廃物を排出するため体の疲労回復には効果的ですが、ストレス解消にはなりません。
気分をリラックスさせてストレスを解消したいときはぬるめのお湯、活力を得たいときには熱めのお湯と、目的に応じて温度を変えると良いでしょう。
【お湯の温度による体への影響の違い】
温度 | 解説 |
---|---|
微温浴(37℃~38℃) | 脈拍数が減り、血圧が低下する温度。毛細血管への刺激が少なく、筋肉の疲れを和らげます。気分が落ち着きリラックス効果も。 |
中温浴(38℃~42℃) | ストレス解消に最適な、副交感神経の働きが一番活発になる温度。血液循環が良くなり体の芯から温まります。筋肉疲労の緩和も。 |
高温浴(42℃以上) | 交感神経が刺激されて新陳代謝が促され、心身ともに活動的になります。疲労回復にも効果的。眠気覚ましのシャワーなどにおすすめの温度です。 |
入浴時間は長すぎず短すぎない20分前後が効果的
ストレス解消に最適な入浴時間は、リラックスしながらぬるめのお湯に浸かっている場合、20分前後が良いと言われています。長時間の入浴が苦手な方は、最低でも10分、湯船の中で体を温めるとストレス解消効果が期待できます。
また、睡眠中もストレス解消には絶好の機会。良質な睡眠をとるために、入浴は就寝の1~2時間前までに済ませておくことも大切です。
その他のリラックス効果のある入浴法
入浴と言えば肩までお湯に浸かる全身浴が一般的ですが、以下の入浴法もストレス解消に効果的です。
入浴法 | 解説 |
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半身浴 | 最もリラックスできる入浴法とも言われている半身浴。心臓や肺への負担が少なく、長時間でものぼせることなく体を温めることができます。じんわりと汗をかくことで新陳代謝を促し、全身の疲労を和らげます。 |
寝浴 | 仰向けに横たわることで、体に水圧をかけずに肩までお湯に浸かることができる入浴法。リラックス効果が高いだけでなく、全身を支える筋肉、関節などの負担を軽減します。 |
効果は通常の2倍!?入浴中にプラスしたいストレス解消方法
入浴だけでも十分なストレス解消になることはおわかりいただけたと思いますが、入浴中に以下のことをプラスすれば、さらなるリラックス効果でストレス解消が期待できます。
① バスルームを癒しの空間にする
観葉植物を飾ったり、お気に入りのバスグッズを揃えて浴室を居心地の良い空間にするとリラックス効果も倍増。お風呂場の照明を落としてキャンドルを灯せば、最高のリラクゼーションに。
② アロマオイルを使ってアロマバスにする
好きな香りのアロマオイルを数滴垂らし、香りでリラックス効果を高めるアロマバス。香りの成分は鼻から直接脳へと伝わり、自律神経系やホルモン系、免疫系などにダイレクトに作用します。ストレスに効果があるのはラベンダー、イランイラン、カモミール、ネロリ。リフレッシュしたい時にはオレンジやペパーミントのアロマオイルがおすすめです。
③ リラックス効果のある入浴剤を使う
香りや効能など、様々な効果が期待できる入浴剤は、色にもこだわりたいところ。宮城大学の「ストレス原因に適した癒やしの色に関する研究」によると、薄い黄緑や緑、水色、薄い紫などの寒色に「癒やされた」と感じる人が多かったそう。寒色系の入浴剤を使えば、視覚からもリラックス効果を高めることができそうです。
④ 声を出して歌う
ある企業と大学の共同調査により、歌うことでストレス度を示すホルモン・コルチゾールが低下することがわかっています。歌うのが好きではないという人でも、歌うことでストレス解消ができるのだそう。歌うのが恥ずかしいという方は、好きな音楽を聴くことでも十分なリラックス効果が得られます。
⑤ 泣く
感情で流す涙にはストレスの要因となる物質が含まれていること、泣いている時は副交感神経が優位になりリラックス状態になることから、泣くことは笑うことよりもストレス解消に効果があると言われています。バスルームなら人目を気にせず泣くことができるので安心ですね。
⑥ 本を読む
イギリスの大学が、読書、音楽鑑賞、コーヒーブレイク、テレビゲーム、散歩をした際のストレス解消効果を検証したところ、読書には68%ものストレス解消効果があるということが明らかに。静かな場所なら約6分間で60%以上のストレスを解消できるとの結果も出ています。本の内容に夢中になることがストレス解消につながるようです。
⑦ 足裏マッサージ
足の裏には自律神経を整えストレス解消に効果的なツボがあります。また、マッサージによるリラックス効果も期待できます。おすすめのツボは以下の2つです。
ツボの名前 | 解説 |
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湧泉(ゆうせん) | 「元気・生命力が湧いてくる泉」という意味があり、ストレスを緩和し自律神経のバランスを整え、体の疲労回復や不調の改善など、様々な症状に効果が期待できる万能のツボです。 足裏の人差し指と中指の間、足の指を内側に曲げた時にへこむ位置にあります。 |
失眠(しつみん) | 不眠を解消すると言われているツボ。睡眠中にもストレスを解消することができるので、湧泉と一緒にマッサージすると相乗効果が得られます。かかとの中央上部にあり、少し強めに刺激すると効果があります。 |
入浴時の注意点
入浴中は疲労回復効果やリラックス効果が得られる反面、思った以上に体力を消耗しています。30分の入浴でも1kmのランニングと同じくらいのエネルギーを消費しているという話も。
また、長時間の入浴は心臓や血管などに負担をかけ、血圧が上がったり、体温が上がり過ぎて寝つきが悪くなってしまうこともあります。長湯はせず、疲れないタイミングで上がることを意識し、入浴後は体を休めてあげましょう。
おわりに
夏場は暑くてシャワーだけで済ませてしまう、という方も多いと思いますが、シャワーを浴びるだけではストレス解消になりません。疲れやストレスがたまっていると感じる時こそ、バスタブにお湯をはり、ゆっくりとお風呂に入りましょう。効果的な入浴で日々ストレスを解消し、心も体もリフレッシュすれば、ストレス知らずで毎日元気に過ごせますよ。