連日の夏日に、室内では冷房をつけて過ごしているという方も多いと思いますが、低い温度設定でかえって体を冷やしてしまってはいませんか? 手足の指先が冷たくなる、という方は要注意。「冷えは万病の元」と言われているように、体が冷えると血行が悪くなり、美容や健康面で様々な悪影響が出てきます。
そこで今回は冷えを解消するおすすめのケアをご紹介したいと思います。ポイントは「足」です。足のマッサージやエクササイズで足の血流を良くすると、全身の血行もスムーズになり、冷え知らずの体になれますよ。
血液の働きと血行について
私たちの体が温かさを保てているのは、血液が熱を乗せて全身をめぐっているからです。
血液は心臓の左心房から送り出され、心臓や筋肉のポンプのような作用で大動脈、足先の毛細血管や静脈を通り、心臓の右心室に戻るという循環を約1分の間に行っています。そして、この1分間で全身の細胞に酸素と栄養素を届け、さらに体内の二酸化炭素や有害ミネラルなど余分な老廃物を回収して腎臓や肝臓に運び、体外に排出するという2つの働きを担っています。このような血液の循環を血行といいます。
けれども体が冷えたりして血流が悪くなり血行不良になると、体の隅々の細胞まで必要な酸素や栄養素をしっかりと届けることができなかったり、老廃物を排出できずに体内にため込んでしまうこととなり、結果、身体の不調として様々な症状が出てきます。
血行を良くすることは、美容や健康面だけでなく、生命活動の維持にもとても大切なことなのです。
血行不良により表れる症状
血行が悪くなると様々な症状が出てきます。放っておくと重い疾患へと悪化してしまうこともあるので注意しましょう。
- 手足の冷え、肩こり、首こり、頭痛、腰痛、関節痛、疲労感や倦怠感、不眠などの体調不良
- 肌のくすみ、肌荒れ、目の下のくま、セルライト、体重増加など美容面での悪影響
- 高血圧、不妊症、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、腎梗塞、認知症、癌などの疾患
血行が悪くなる原因
血行不良の原因には以下のような理由が考えられます。
- 気温や室温、飲食などで体が冷えている
- 偏った食事や不規則な生活などで血液がドロドロになっている
- ストレスや過度な緊張で血管が収縮し、血流が悪くなっている
- 背骨や骨盤など体が歪んでいる
- デスクワークや立ち仕事などで、長時間同じ姿勢を続けている
- 体を締め付ける衣類を頻繁に着用している
- 極度の運動不足による筋力の衰え
全身の血行を良くするポイントは「足」
体の中でも特に冷えやすい足。それは、血流が滞りやすい場所だからです。
重力の関係で血液がたまりやすい下半身は、重力に逆らい下から上に血液を送らなければならないため、他の場所よりも多くのエネルギーを必要とします。けれども足は心臓から最も離れている場所。血行を促す心臓のポンプ作用の及ぶ力が弱く、血流の勢いが弱いため、第2の心臓と言われているふくらはぎの筋肉が心臓の代わりに血液を心臓へと戻す役割を担っているのです。
このため、運動不足などでふくらはぎの筋肉の機能が低下していたり、筋肉量が極端に少ない方は、血液を心臓へ戻すことができず血行不良となり、足先が冷えたり、足がむくんでしまうようになるのです。足の疲労が多い方も、下半身、特に足先が冷えやすい傾向にあります。
また、太ももには全身の1/4の筋肉が集まっていることもあり、足は体内でも血流の多い場所です。血流が多い上に滞りやすい足の血行を良くすることは、全身の血行促進にもつながります。
足の血行促進に効果的なセルフケアやエクササイズ
ここでは、簡単に行えるセルフケアやエクササイズで足の血行を良くする方法をご紹介します。ふくらはぎや足裏のケアは、冷えやむくみだけでなく足の疲労や倦怠感、不快感なども解消します。
ウォーキング
足の血行促進に最も簡単で効果的なのがウォーキング。まずはいつもより少し多く歩くこと、それからふくらはぎの筋肉をいつもより使うことを意識して、坂道や階段などのある道を歩くなど工夫してみましょう。
ふくらはぎのマッサージ
ふくらはぎをマッサージするだけでも血行はかなり良くなります。ポイントは血液を心臓に戻すこと。両手で足首を覆うように持ち、力を入れながらくるぶしからアキレス腱、膝に向かって血液を上へ押し流すようにマッサージをすると、滞っていた血液が循環し、冷えだけでなく、疲労解消、足の不快感やだるさ、むくみなどが改善されます。ふくらはぎは疲労しやすい場所のため、できれば毎日、身体が温まっているお風呂あがりに行うと効果的です。
座位で行うふくらはぎのエクササイズ
デスクワークの方におすすめの、座ったままでもふくらはぎの血流を良くすることができるエクササイズです。まず、椅子に腰かけた状態で足首を伸ばしたり、曲げたりします。片足10回程度行ったら、次は足を床から少し浮かせ、片足ずつ足首を回します。気づいたときにこまめにやると、血行促進だけでなく気分転換にも。物足りないという方は、両足を腰からまっすぐに持ち上げた状態でやると、アキレス腱やふくらはぎにさらに負荷がかかり、効果もアップします。
立位で行うふくらはぎのエクササイズ
血行促進に必要なふくらはぎの筋力アップに効果的なのが、かかとを上げる運動です。足を肩幅くらいに開いて立ち、足の内側を平行にします。そして背伸びをするように両足のかかとを上げ、しばらくつま先立ちの姿勢を保ちます。まずは10回、慣れてきたら20回を1セットとして、1日に2セットがんばってみましょう。
片足正座のポーズ
足先の冷えがひどい時におすすめのエクササイズです。椅子に座った状態で、片足だけ正座をするように座ります。長時間行うと痺れてくるので、足先が温まったなと思ったら足を戻します。血流が膝で止められるので、足を元に戻したときに血液が勢い良くめぐり、足先まで血が行き届きます。
足を高く上げるポーズ
就寝前、横になった状態で、足元にタオルなどを置き、足の位置をいつもより少し高くして眠る方法です。足を心臓よりも高い位置に上げることで、下半身の血液を心臓に戻しやすくします。足の疲れを軽減するのにも効果的です。ただし、高く上げすぎても血行不良となってしまうので注意しましょう。
足裏マッサージ
足の血行を良くし、足先の冷えを改善するには足裏のツボを刺激するのも効果があります。座った状態で、左右どちらかの足をもう一方の足の太ももの上に置きます。そして握り拳を作り、土踏まずの真ん中から拳の第二関節を使ってこする感覚でマッサージしていきます。かかとは強めに指圧したり、足の指を1本ずつもみほぐすなど足全体をしっかりマッサージすることで、血流の悪くなりがちな末端部まで血の巡りを促します。
また、足裏には脂肪が少なく、熱さや冷たさがダイレクトに血管に伝わるため、足裏を温めるだけでも血行促進につながり、効率よく全身を温めることができます。
血行を良くするための生活習慣
血行を良くするには、体を冷やさないようにすることはもちろん、良質な睡眠と栄養バランスのとれた食事を摂り、規則正しい生活を送ることが大切です。その上で、以下のことに気をつけるといいでしょう。
ストレスの軽減
血流は自律神経が大きく影響すると言われていますが、それは、ストレスや緊張を感じると交感神経系が優位になり、血管が収縮するからです。ストレスを減らしたり、自律神経に関係するホルモンバランスの乱れを改善することで、血行を良くします。
食事
体を冷やすことは血行不良の大きな原因。根菜やニンニク、生姜など体を温める食材を普段から意識して食べましょう。夏場でも、体が冷えていると感じたら体を冷やすナスやトマトなどの夏野菜、サラダなどの生野菜、果物などは控えます。また、血液をきれいにすることも血流改善に。血液をサラサラにする効果が期待できる玉ねぎやアジ、サバ、サンマなどの青魚を積極的に摂るのもいいでしょう。反対に、血液をドロドロにするインスタント食品やスナック菓子など中性脂肪やコレステロールを多く含む食品は、極力食べない努力を。
運動
身体を動かして筋肉を使うと、筋肉が血流をスムーズにし、血行を促進します。簡単なストレッチでも筋肉を使えば血行が良くなりますし、筋力トレーニングで筋肉量を増やし基礎代謝を上げれば、熱を生み出しやすい体を作ることができます。
入浴
シャワーで済ませるのではなく、しっかりと湯船につかり、体の芯から温まることも大切です。入浴時には水圧もかかるため、全身の血行促進、新陳代謝も促されます。
また、肩こりや腰痛が辛い時、冷えて血行が悪くなっている場所にシャワーのお湯を当て、水圧でマッサージするのも効果的です。お湯の温度は40度くらいで、3分から8分を目安にするといいでしょう。温水と冷水を交互に浴びることでも血行は良くなります。
足の角質ケア
素足の露出が増える夏におすすめなのが、足の角質ケアです。角質ケアには様々な方法がありますが、冷えやすい足の末端まで刺激することでマッサージ効果も期待でき、足全体の血流が良くなります。また、角質により厚く硬くなってしまった角質を除去することで皮膚が薄くなり、足の温感もアップします。
終わりに
体の冷えは改善が難しいと思われていますが、血流が滞りやすい足を中心に適切なケアを行えば、全身の血行不良も改善できます。血行を良くすれば、美肌や痩せやすい体になるなど美容面での効果も期待できますし、体の不調の改善や疾患の予防にもつながります。
夏は、必要以上に体を冷やしてしまう季節ですが、規則正しい生活と適切な足のケアで、冷え知らずの体と美と健康を手に入れましょう!