夏は素足になる機会の多い時期。露出が増えることにより、いつも以上の負担や刺激を受けて、足裏の角質がたまりやすくなる時期とも言えます。この、余分な角質がたまり、はがれにくくなっている「角質肥厚(かくしつひこう)」の状態は、見た目にも美しくないですし、様々なトラブルの原因にもなるため、角質除去などのこまめなフットケアが大切になってきます。
けれども、自宅でできる一般的な角質ケアは、肌への負担が少なからずあるものがほとんど。緊急のケアとしてはいいかもしれませんが、できることなら常用は避け、ふだん酷使している足裏の負担を少しでも減らし、労ってあげたいですよね。
今回は、敏感肌の方でも安心の、肌負担が少ない角質除去の方法についてご紹介します。
足裏に角質がたまりやすい理由
足裏の角質には外部刺激から足裏を守るという重要な働きがあります。足裏は他の部位に比べてもともと皮膚の層が厚いのですが、体重による圧力や足の酷使、足に合わない靴を履くことで起こる摩擦など足裏への刺激が多くなると、その刺激から皮膚を守るために角質ははがれ落ちず、さらに厚く硬くなっていきます。皮膚に負担がかかるほど、古い角質は蓄積されてしまうのです。
また、健康な皮膚であれば、肌の自然な新陳代謝により、通常28日程度のサイクルで細胞が生まれ変わるため、角質は自然にはがれ落ちます。けれども、血行の悪さなどで肌のターンオーバーが乱れていたり、足裏が乾燥している、疲れやストレスが溜まっている、フットケアがきちんとできていないなどの理由から、足裏の角質はどんどんたまっていき、乾燥やヒビ割れなどの原因になります。
一般的な足裏の角質除去の方法
一般的に知られている角質除去の方法には、角質を削る、角質をはがす、角質を磨いて除去する方法があります。自宅でのセルフケアが可能なため、手軽で安全にできるイメージがありますが、処置の方法や肌質によっては肌を傷める可能性もあり、実は多くの人におすすめできるケアではありません。
角質を削る方法
軽石やドラッグストアなどで購入できるフットケア用のヤスリ、電動角質リムーバー、足裏の角質専用カミソリなどを使い、古くなった角質を除去する方法。かかとの頑固ながさつきなども比較的楽に除去することができ、すぐに効果を実感しやすく、毎日フットケアをする時間がない方や緊急時のケアに向いています。
ただし、しっかりと角質を除去することができるため、必要な角質まで削ってしまったり、肌の他の部分を傷つけてしまうリスクもあります。角質の削りすぎは肌への刺激となり、肌を傷めるだけでなく、結果的には角質をさらに厚くしてしまうこともあるので、使用時には注意が必要です。
角質をはがす方法
専用の薬液(ピーリング剤など)で古い角質をはがす方法。角質除去にムラが出てしまう削る方法と違い、薬液に足を浸すだけで足裏全体の皮がずるりとむけるので、手軽に赤ちゃんの肌のような足裏に。古い角質は嫌なにおいの原因にもなるので、全体がきれいになるこの方法は足のにおいにお悩みの方にも有効ですが、角質がきれいにはがれ落ちるまでにはある程度の日数がかかり、ケアの最中は見た目にもあまりきれいではないため、時間に余裕のある方に向いています。
ただし、使用する薬液が肌に合わなかったり、失敗してしまうことも多い方法であることは留意しておきましょう。また、効果の出るものは皮膚刺激の強い薬液を使用する場合が多いので、アトピーや敏感肌など肌の弱い方は避けた方が良さそうです。どうしてもという場合は、パッチテストで安全性を確認した上で、使用時間を短くしたり、刺激の少ない顔用のピーリング剤などで代用しましょう。
角質を磨いて除去する方法
角質除去クリームやスクラブ入りのジェルなどで足裏をマッサージしながら、古くなった不要な角質を研磨して除去する方法。上記のふたつと比べて肌への負担や刺激が少ないため、即効性はありませんが、ふだんのお手入れに取り入れやすく、日常的にお手入れを続けることで角質を除去し、きれいな足裏を維持することができます。
けれども、肌を研磨する以上、少なからず刺激があるものなので、力を入れて必要以上の刺激を肌に与えないようにし、決められた使用頻度を守り、毎日の使用は控えることが大切です。また、スクラブの粒子の大きさにより肌への刺激が変わるため、肌質に合った物を選びましょう。お肌が弱い方は粒子が小さめの顔用の物を、角質の厚さが気になる方はかかとやひじ、膝用のボディスクラブがおすすめです。
肌への刺激が少ないおすすめの足裏角質ケア
肌への負担をかけずに毎日足を洗う
足裏と言ってもお肌はデリケートなもの。角質ケアの方法には様々なものがありますが、角質除去の際には肌への負担がかかりますし、角質ケアのしすぎも良くありません。常に酷使している足裏を労り、優しくケアするには、やはり毎日足を洗うことで角質ケアをするのが一番です。
足を洗うのはあたり前のことと思われるかもしれませんが、足裏まできちんと洗えている方は実はあまりいないのではないでしょうか。洗い方は、お顔と同じように石鹸を泡立て、手や豚毛などのブラシを使って丁寧に角質や汚れを落とすのが一番ですが、面倒に思う方は、電動式のフットケア製品がおすすめです。かかとなど角質が硬くなっている場所や、足裏全体のかさつきが気になる場合はボディスクラブを使い、マッサージするように優しくケアしてあげましょう。足の嫌なにおいも解消できますし、 常にきれいな足裏を保てるので、急に素足を出すことになっても安心です。
お酢を使った角質除去
毎日の足洗いでは物足りないという方には、リンゴ酢などの食用酢による角質除去がおすすめです。酢に豊富に含まれている有機酸にはピーリング効果があり、古い角質を除去する作用があります。方法は簡単。両足の入る洗面器などの容器にお酢とお湯を1:3 の割合で入れ、そこに足を 30分~1 時間浸けておくだけ。その後、フットケア用のブラシなどで軽く足裏を洗い流します。
肌への刺激が少ない分、劇的な効果はありませんので、週に 1回くらいを目安に続けると良いでしょう。酢には殺菌作用もあるため消臭効果も期待できます。
足裏の保湿
足裏には多くの汗腺がありますが、皮脂腺はありません。本来肌は汗腺と皮脂腺の働きにより潤いを保っているので、皮脂腺のない足裏は乾燥しやすい部位。乾燥すると肌のターンオーバーが乱れ、本来なら垢としてはがれ落ちるはずの古い角質が厚く蓄積していくという悪循環にもなります。
ですので、足裏には積極的にクリームなどで油分を補い、乾燥がひどくならないよう保湿をしましょう。適度な油分を与えることで、自然なサイクルで角質を除去できます。
角質ケア後の注意点
きれいになった足裏を保ち、角質を必要以上に増やさないためにも、角質を除去した後は以下のことに気をつけましょう。
保湿をして乾燥を防ぐ
毎日、お風呂上がりに保湿性の高いクリームなどを塗って足裏の乾燥を防ぐことも大切ですが、新しい柔らかい皮膚が露出している角質除去後の足裏はとてもデリケート。普段から乾燥しがちな人は顔と同じように化粧水を浸透させてからクリームで蓋をするなど、保湿をしましょう。保湿を忘れてしまうとかえって乾燥し、皮膚がかさつきやすくなります。より保湿効果を高めたいときは、保湿後にサランラップを巻いて保護したり、肌触りの良いコットンの靴下をはきましょう。
外部刺激を少なくする
角質除去後は裸足で歩いたり素足で靴を履くなど、足裏に必要以上に刺激を与えないことが大切です。
また、普段履いている靴にも注意しましょう。角質除去後は特に底の硬いものは避け、クッション性のあるインソールなどで、靴底からの刺激を和らげることができるものを選ぶようにします。サイズの合わない靴や足の形に合っていない靴は、必要以上に圧迫や摩擦による刺激を与え、角質を厚くする要因になるので、合わない靴を履いて足裏に極端な刺激を与えないように気をつけましょう。
足先を温める
人間の体は冷えて血流が悪くなると、体の隅々まで必要な酸素や栄養を届けることができなくなり、皮膚細胞の代謝を下げます。そうすると古い角質はターンオーバーではがれ落ちずどんどん厚くなってしまいます。入浴中やお風呂上がり、寝る前など、体が温まっているときに足裏をマッサージして血流を促したり、普段から靴下をはくなどして足先の冷えを防ぎましょう。
おわりに
角質除去には様々な方法がありますが、肌に負担をかけず、きれいな足裏を保つためには、角質が厚くなり専用のケアが必要になるまで放置せず、お顔と同じように毎日お手入れすることが大切です。毎日の足洗いと保湿は大変だと思うかもしれませんが、常に酷使している足裏を労り、いつでも見せられるきれいな素足を保つためにも、この夏を機に、足裏に優しい毎日のフットケアを習慣にできるといいですね。