裸足になったりサンダルを履いたり、夏は素足になる機会の多い季節。普段はあまり露出しない足裏はお手入れを怠りがちですが、皆さん、素足を見せる準備はできていますか?
どんなに美容やファッションに気を遣っていても、素足が見苦しかったらすべてが台無し。
今回は、今すぐできる足裏の角質ケアについてご紹介します。
角質の役割
角質は外部刺激から肌を守ったり潤いを保つなど、私たちの体にとって重要な役割を担っているもの。本来ならば積極的に除去する必要のないものです。
肌のターンオーバーが正常であれば、役目を終えた角質は然るべき時にはがれ落ちていくのですが、ターンオーバーの乱れなどが原因で角質がはがれ落ちずにそのまま肌に残ってしまうと、皮膚として蓄積し、どんどん厚くなっていきます。そして乾燥して硬くなり、ガサついた皮膚を形成します。これが、一般的に除去すべきと言われている古い不要な角質です。
足裏やかかとに角質がたまってしまう原因
足裏への強い刺激
足裏の角質がはがれ落ちずに厚くなってしまう原因はいくつかありますが、最も多いのは、長時間の歩行や足に合わない靴を履くことにより、靴の中で足が圧迫され摩擦が繰り返されるためです。もともと足裏は他の部位と比べて皮膚の層が厚いのですが、刺激が繰り返されることにより皮膚の防御反応が起こり、角質層はさらに厚くなります。ひどくなると角質化してタコができることも。通常、タコに痛みはありませんが、状態が悪化したり、皮膚にひびわれが生じた場合は痛みを感じることもあります。
乾燥
足裏は皮脂腺がないため、他の部位と比べて乾燥しやすい場所。さらに、血行不良などで皮膚細胞の新陳代謝が乱れると、ターンオーバーで古い角質がはがれ落ちにくくなり、蓄積された古い角質が乾燥、さらに角質化が進行してしまうという悪循環が起こります。
特定の皮膚病
定期的な角質ケアをしていても状態が改善されない、あるいは繰り返してしまうという場合は、皮膚が硬くなってしまう足底角化症や、角質増殖型の水虫の可能性も。かかとの水虫はかゆみがないことが多いので、気になるときは皮膚科などの医療機関で診断を受けましょう。
自宅でできる角質ケアの方法
自宅でできる角質ケアには主に3つの方法があります。角質ケアで大切なポイントは「不要な古い角質を取り除くこと」と「保湿」の2点です。目的や用途に合わせ、ご自身に合った方法を選んでみてください。
1. 角質を削って除去する方法
ファイル(やすり)を使い、古くなった角質を削る方法。即効性を求める方におすすめです。
【用意する物】
- フットケア専用のファイル(やすり)…ドラッグストアなど市販のものでOK。目の粗い面と細かい面があり、手で握りやすいものを選びましょう。
- 保湿用の化粧水やハンドクリーム…お手持ちのスキンケア製品で大丈夫です。購入する場合は尿素配合のものがおすすめ。
【お手入れの手順】
- お風呂や足湯、フットバス、蒸しタオルなどで、ふやけない程度に足裏の不要な角質に水分を含ませ、足裏を柔らかい状態にします。
- 足の水分を拭き取り、ファイリングします。乾燥で荒れがひどい場合はファイルの粗い面で、そこまでひどくない場合は細かい面を使い、力を入れず一方向に動かし、厚くなった角質を除去していきます。削りすぎたり、ファイリングが不要な他の部分を傷つけたりしないよう注意しましょう。角質が厚い場合は、何日かに分けて少しずつ削っていきます。
- ファイリングした箇所を細かい面で一方向に優しくなぞり、皮膚の表面を整えます。
- 角質を除去した後の肌はとてもデリケート。化粧水をつけ、蓋をするようにハンドクリームを塗り、保湿します。上からサランラップで巻くと保湿効果がアップします。就寝前なら靴下をはいて寝ると良いでしょう。
【お手入れ時の注意点】
- 足裏は体重を支える部分。ある程度の角質は必要なので削りすぎないように注意しましょう。削りすぎるとかえって角質が厚くなることがあります。また、肌を傷めないように注意しましょう。
- ひび割れて炎症を起こす可能性が高い場合は、足裏が乾いた状態でのファイリングが適しています。
- 皮膚がふやけた状態でお手入れすると角質を除去しすぎる可能性があるので、入浴中のファイリングはやめましょう。
2. 角質を研磨して除去する方法
スクラブ入りのジェルや粒子状のパウダーを含むクリームなどで肌をマッサージし、古くなった角質を研磨して落とす方法です。皮膚を傷つけるリスクが低い比較的安全な方法ですが、一度では効果が出にくいため、角質が厚くなってしまっている方には適していません。日常的なお手入れにおすすめです。
【用意する物】
- スクラブ入りのジェルや粒子状のパウダーを含むクリーム、かかとやひじ、膝用のボディスクラブなど、研磨用の製品…保湿成分や整肌成分が入っているものがおすすめです。
- 保湿用の化粧水やハンドクリーム…お手持ちのスキンケア製品で大丈夫です。
【おすすめのお手入れの手順】
- お風呂や足湯、フットバス、蒸しタオルなどで、ふやけない程度に足裏の不要な角質に水分を含ませ、足裏を柔らかい状態にします。
- 指先や手のひらで足裏の角質が厚くなっている部分に研磨剤を塗布し、円を描くように軽くマッサージをします。片足1分くらいが目安です。
- 研磨剤を洗い流します。
- タオルで水分をふきとり、足裏全体を保湿します。
【お手入れ時の注意点】
- マッサージをする時は、力を入れすぎて必要以上の刺激を肌に与えないよう注意しましょう。
- 研磨剤は乾いた状態で使うものもあるので、その際は使用方法に従ってお使いください。
3. 角質を薬液ではがして除去する方法
専用の薬液(ピーリング剤など)を角質の厚い部分に浸透させ、足裏の古い角質をはがす方法です。簡単に行えますが、効果が出るまでの時間がかかり、途中の皮むけの状態は見た目にも美しくないため、時間に余裕のある方に向いています。
【用意する物】
- 専用の薬液(ピーリング剤など)…使用前にパッチテストをして肌に異常がないことを確認できるよう、パッチテスト用の薬液がついている製品がおすすめです。薬液に浸す時間は製品によって違うので、事前に確認しておきましょう。薬液の入った袋に足を浸す仕様の製品は楽にケアが行えます。※ピーリング剤には様々な種類があるので、肌の状態や肌質に合ったものを選ぶようにしましょう。
- 保湿用の化粧水やハンドクリーム…お手持ちのスキンケア製品で大丈夫です。
【お手入れの手順】
- 薬液を角質除去したい箇所に塗布し、使用方法に従い時間をおきます。
- 時間がたったら薬液を洗い流します。
- 靴下を着用して足を保護しながら、数日間様子を見ます。使用後数日で角質がはがれ始めます(足の皮がむけていきます)。
- 古い角質がすべてはがれるまで保湿は不要。足裏の保護のために靴下は着用しましょう。どうしても足裏の乾燥が気になる場合はオイルフリー、アルコールフリーの低刺激の化粧水などを使用します。
- 角質がすべてはがれ、足裏がきれいになったら、しっかりと保湿します。
【お手入れ時の注意点】
- 素足になる季節や裸足になる予定がある時期の使用は避けましょう。
- 肌を傷めないよう、十分に注意しましょう。
角質ケアをする時の注意点
- 清潔な状態で行い、 角質除去が不要な部位を傷つけないよう注意しましょう。
- 頻繁な角質ケアは肌を痛める原因に。それぞれ決められた使用頻度を守りましょう。
- 角質除去中、除去後に、痛みやかゆみなどの異常を感じたら、皮膚科などの医療機関で診療を受けましょう。
- 角質除去後は、足裏に刺激を与えずに労り、乾燥を防ぐために念入りな保湿を意識しましょう。
その他の角質ケア
軽石も手軽に使用できるフットケア用品ですが、やさしく肌をいたわりながら使うと効果的です。正しい使用方法を確認してから角質ケアを行うようにしましょう。
また、セルフケアに不安のある方は電動式のフットケア専用グッズの使用や、フットケアサロンでプロの施術を受けるのもおすすめです。
足の角質とにおいの関係
角質ケアには足裏をきれいに整える以外にも利点があります。それは、足の嫌なにおいの予防と解消。足の古い角質は、実はあの嫌なにおいにも関係しています。
足の裏には他の部位と比べて倍以上の汗腺があり、靴を履いているときの足は高温多湿な状態。足の裏から出る汗はほぼ無臭のエクリン腺から出ているため、99%が水分で、においはほとんどないのですが、肌の表面に存在する皮膚常在菌は湿気を好むため、汗をかいて蒸れた足の裏で活性します。そして汗や皮脂、古い角質などの分解作用が活発になります。その時の分解臭が、嫌なにおいの原因であると言われています。
皮膚常在菌の働きを抑えることは難しいですが、においの原因物質となる角質を除去することにより、足のにおい対策にも効果があるのです。
おわりに – “足裏ルーティン”のおすすめ
足裏は日々負担をかけている部位にもかかわらず、顔などの他の部位と違ってなかなかケアが行き届かない場所。でも、第二の心臓とも言われるほど、体にとって重要な働きをしている場所でもあります。
1年の中で素足の状態が最も気になるこの時期だけのスキンケアで終わらせず、この機会に足裏ケアを習慣にする「足裏ルーティン」を試してみてはいかがでしょうか?他人に見せても恥ずかしくない素足になるだけでなく、様々な良い効果が期待できますよ。